投資の「入口」(積立)については多くの情報がありますが、「出口」(取崩し) についてはあまり語られません。
「毎月いくら取り崩せば資産は持つのか?」「取崩しを始めたら運用はどうすべきか?」
この記事では、資産の取崩し戦略について実践的に解説します。
なぜ出口戦略が重要なのか
積立で2,000万円を築いたとします。65歳から毎月10万円ずつ取り崩すと:
- 運用しない場合: 2,000万円 ÷ 10万円 = 200ヶ月(約16.7年) で枯渇
- 年3%で運用しながら: 約23年持つ
たった3%の運用でも6年以上の延命効果があります。
取崩し方法の比較
定額取崩し
毎月一定額(例: 10万円)を取り崩す方法。
メリット: 生活費の計画が立てやすい デメリット: 暴落時に多くの口数を売却してしまい、回復のチャンスを逃す
定率取崩し
残高の一定割合(例: 年4%)を取り崩す方法。
メリット: 暴落時は取崩し額が自動的に減り、資産の延命効果がある デメリット: 毎月の取崩し額が変動するため、生活費の計画が立てにくい
4%ルール
米国の研究(トリニティ・スタディ)に基づく取崩しルール。年間4%の取崩しなら、30年間資産が持つ確率が95%以上というもの。
ただし、これは米国株式60% + 米国債券40%のポートフォリオを前提としており、日本の投資環境にそのまま当てはまるとは限りません。
具体的なシミュレーション
ケース1: 2,000万円から毎月10万円取崩し
| 運用リターン | 資産が持つ期間(概算) |
|---|---|
| 0%(運用なし) | 16.7年 |
| 2% | 約20年 |
| 3% | 約23年 |
| 5% | 約33年 |
ケース2: 3,000万円から毎月15万円取崩し
| 運用リターン | 資産が持つ期間(概算) |
|---|---|
| 0%(運用なし) | 16.7年 |
| 2% | 約20年 |
| 3% | 約23年 |
| 5% | 約33年 |
取崩し額と元本の比率が同じなら、期間もほぼ同じになります。
取崩し時のポートフォリオ
株式100%は危険
取崩し期に株式100%だと、暴落と取崩しが重なった場合に資産が急速に減少します(シーケンスリスク*1)。
推奨される構成
取崩し期には株式比率を下げ、債券やキャッシュの比率を上げるのが一般的です。
| 年齢 | 株式比率の目安 |
|---|---|
| 60歳 | 40〜60% |
| 70歳 | 30〜40% |
| 80歳 | 20〜30% |
「100 - 年齢 = 株式比率」という経験則もありますが、個人のリスク許容度や資産総額によって調整が必要です。
出口戦略を立てる3つのステップ
ステップ1: 必要な生活費を把握
年金収入と毎月の生活費の差額が、取崩しで補う金額です。
ステップ2: 資産の寿命をシミュレーション
投信みえるくんの取崩しシミュレーションで、過去の実績に基づいた資産推移を確認しましょう。
ステップ3: ポートフォリオを調整
取崩し開始の5〜10年前から、徐々に株式比率を下げていく「グライドパス」を設計します。
取崩しシミュレーションを試してみよう
まとめ
- 出口戦略は入口戦略と同じくらい重要
- 運用しながら取崩すことで資産の寿命を大幅に延ばせる
- 定額取崩しは計画しやすいが、定率取崩しの方が資産延命効果は高い
- 4%ルールは参考になるが、日本の環境にそのまま適用は要注意
- 取崩し期は株式比率を下げるのが一般的
- まずはシミュレーションで資産の寿命を確認しよう