「分散投資しているから安心」――そう思っている方に、一つ質問です。
あなたのファンド、本当に「分散」できていますか?
複数のファンドを持っているだけでは、分散投資とは言えません。この記事では、よくある「分散のつもり」パターンと、本当の分散の考え方を解説します。
「分散のつもり」あるある
パターン1: 同じカテゴリのファンドを複数
- オルカン + S&P500 + 先進国株式
3本持っていますが、すべて株式ファンドで、しかも上位銘柄の大半が重複しています。これは「3本に分散」ではなく「同じものを3つ持っている」に近い状態です。
パターン2: 運用会社だけ分散
- eMAXIS Slim 全世界株式 + 楽天・全世界株式 + SBI・V・全世界株式
運用会社は3社ですが、すべて同じMSCI ACWI連動。保有銘柄はほぼ同一です。
パターン3: ファンド名が違うから大丈夫
「先進国」と「全世界」は名前が違うので中身も違うと思いがちですが、全世界の約90%が先進国株式と重複しています。
分散投資の本質
分散投資の効果は、異なる値動きをする資産を組み合わせることで得られます。金融理論では「相関が低い資産の組み合わせ」がリスク低減に有効とされています。
相関係数とは?
2つの資産の値動きの連動性を数値化した相関係数*1というものがあります:
| 相関係数 | 意味 |
|---|---|
| +1.0 | 完全に同じ方向に動く |
| +0.5〜0.9 | かなり連動する |
| 0 | 無関係 |
| -0.5〜-0.9 | 逆方向に動きやすい |
| -1.0 | 完全に逆方向に動く |
相関が低いほど、組み合わせた時のリスク低減効果が大きいのです。
よくある組み合わせの相関
| 組み合わせ | 相関係数(目安) | 分散効果 |
|---|---|---|
| オルカン vs S&P500 | 0.95以上 | ほぼなし |
| オルカン vs 先進国株式 | 0.98以上 | ほぼなし |
| 先進国株式 vs 新興国株式 | 0.7〜0.8 | やや有効 |
| 全世界株式 vs 国内債券 | 0.1〜0.3 | 有効 |
| 全世界株式 vs 金(ゴールド) | -0.1〜0.2 | 有効 |
特にオルカンとS&P500*2の相関は0.95以上と極めて高く、両方持ちの分散効果はほとんどありません。
本当に分散するための3つの軸
1. 資産クラスの分散
同じ「株式」カテゴリ内で銘柄を増やしても効果は限定的。株式・債券・リート・コモディティなど、異なる資産クラスを組み合わせましょう。
2. 地域の分散
米国だけでなく、日本・欧州・新興国など異なる経済圏に投資する。ただし、グローバル化により先進国間の相関は高まっています。
3. 時間の分散
一括投資ではなく積立投資(ドルコスト平均法) で、購入タイミングを分散する。
具体的なアクション
- まず現状を確認する: 自分のファンドの重複率を調べる
- 相関を確認する: Pro分析で相関行列を見る
- 低相関の資産を検討する: 株式100%なら債券やリートの追加を検討
まとめ
- 複数ファンドを持っていても中身が同じなら分散にならない
- 分散効果は相関が低い資産の組み合わせで得られる
- 同じ株式カテゴリ内の組み合わせは相関が非常に高い
- 本当の分散は資産クラス・地域・時間の3軸で
- まずは自分のポートフォリオの重複率と相関をデータで確認しよう